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WCW vs WWF
アメリカン・プロレスリング


格闘エンタテインメント。90年代を終えてアメリカのプロレスは、ムチャクチャな設定のキャラクターたちがとことん派手な演出をもって闘う「ドラマ」となった。レスラーの労使抗争からオーナー一家の家族問題までをプロレスにして「演じて」しまったWWFプロレスリングは、野球・バスケットボールと並ぶ最も人気のあるスポーツ番組のひとつとなった。



Overall Impression
シリーズの印象

 以下、あくまでテレビ番組のひとつとして感想を書いています。格闘技の性質や裏事情などはとんと知りませんので、ご容赦を。

 日曜の夜11時台、ニュージーランドTV2では WCW (World Championship Wrestling) をやってる。ひと昔前日本でも名前の売れたホーガンのいる(いた?)アメリカのプロレス団体。テキトーに観たけど、WCWは相変わらずつまんねえなあ。プロレス界の外側にいる者の視点から観ると、完璧に WWF (World Wrestling Federation) のまがいモンに成り下がってるとしか思えない。昔はWCWこそ王道だったんだと思うけど。昔の名前のデカさだけを見てロクな審査もせず面白くないプログラムを買ってしまうのは、政府系TV2の悪いクセ。ちなみにWWFは新参で独立系のTV4で放送されてる。

 いつのまにプロレス界のトレンドが変化してWWFとWCWの位置が入れ替わったのか僕は知らないけど、いまのWWFとWCWを比べると、やってることは同じでも圧倒的にクオリティが違う。WCWは欠点ばかり目立つ。リングの外・ゴングの鳴る前のレスラーのスタンドプレイやホールの外で繰広げられるライブカメラのアクションといった、テレビ番組のエンタテインメントとしてのプロレスを盛り上げる「ドラマ」の部分は、いずれも演出がなってなくてつまらない。WCWのレスラーやその関係者は、やり慣れてないものを無理矢理やってるという感じがする。特に大声で叫ぶスタンドプレイ以外でのレスラーたちの演技は完璧に萎縮してしまっていて、ちょっと観ていて気の毒になることもある。そして格闘の舞台となるリングの狭さ。これは伝統なのか、それとも相対的にレスラーを大きく見せる演出なのか。実際には、WWFに比べるとレスラーが大きく動けないので、ダイナミズムに欠けて狭苦しい印象を受ける。

 それから、オープニングの「WCWガールズ」とかいう水着のねーちゃん軍団のダンスは、即止めていただきたい。あれは男性視聴者の人気を当て込んで女性を単なる見世物にしてる、ひどいアナクロニズムだ。このユニセックスの時代に、パープリンの白人男性客に男尊女卑を植え付ける気か。WWFもセクシーねーちゃんはたっぷり登場するが、それは自分の個性を武器に男性レスラーを支配下に置こうと奮闘する、ちゃんとしたドラマのキャラクターとしてだけだ。男性に媚びて無条件で躍ったりしないぞ。WWFにはチャイナという男性と対等に戦うレスラーもいるしね。このへんひとつとっても、WCWは時代についていけてないな、と思っちゃうのだ。WWFの方があらゆる面で、3歩先にいる。

 ちょいと出過ぎた推測をしてみると、問題はアメリカに有力なプロレス団体が2つしかない、という点にあるのかもしれない。もう少し小さな団体がいくつかあれば、それぞれオリジナリティのある路線を取って独自の面白さを開拓できるのかもしれないのに、巨大な団体が二つだけだと常に人気で張り合わないといけないから、思いきった路線の変更が出来ない。かつての成功で大きくなりすぎたWCWは、人気を保持するために現在の路線を続けなければならないが、結局WWFに品質で負けてるので人気は失われて行くという、悲惨な状態にあるんじゃなかろうか。


 ところできょう観たWCWには日本のライガーが出てた。ライガーもあんなせせこましいリングでどたどた立ちまわっても、全然もりあがんないぞ。その点、昔WWFに出てた みちのくタカ は面白かった。広いリングを縦横無尽に駆けまわり敵を翻弄するその姿。英語が喋られないことを逆手に取った、飄々として茶目っ気のあるスタンドプレイ。うろ覚えだけど、リング上で倒した相手の取り巻きレスラー達が怒り狂って襲い来るところ客席を一気に駆けぬけて逃げ延び、リング付近で地団太踏む敵を眺めてニヤリとした彼の姿には、まさに快哉だった。そんな彼も、団体内紛ドラマが盛り上がるにつれていつのまにか陰が薄くなり、同じ日系レスラーの海援隊と一緒にされ、そして画面から消えていった。重ねて書くけど、僕は日本のプロレスは完璧ノータッチなので、裏で何があったのかなんて全然知らない。

 いまWWFにいる「日本」を連想させるレスラーは、「ラィキーシー」だ。綴りは "RIKISHI" 、まんま「力士」である。デブであるというだけでマワシみたいなパンツを履いてる金髪の国籍不明レスラーで、実際はちっとも日本じゃない。まあ相撲取りまがいもキャラ立ってていいけど、アジア人の小柄な体型を生かしたもっとスピーディーなレスラーが、1人はいてほしいなあ。


 蛇足の情報。WWFのトップレスラーは、最近試合以外のテレビでもよく見かける。特にロックはスタンドプレーの演技がなってるので、かなりピックされるようだ。シチュエーションコメディ "That 70's Show" では、20数年前の彼の父親レスラーという設定で、アフロのズラ被って小人レスラーと闘ってた。またスタートレック:ヴォイジャーにも出演したようだ。格闘専用サイボーグ? よう知らんが、スタートレックを放送するUPNネットは99年からWWFも放送してるから、タイアップかと。最近雲の上の存在となりつつあるストーン・コールド オースティンは、巨乳でおなじみの パメラ リー アンダーソン が主演する(もちろん安っぽくて低俗な)スパイもののドラマシリーズ VIP でゲスト出演し、セクシーな女優にプロレス技を指南していた。しかし演技力はロックに比べて相当劣るオースティン、ドラマでも目線が妙にふらついてた。頑張れ。

 かつては一斉を風靡したハルク ホーガンは、最近ではブルック シールズのシチュエーションコメディ サドンリィ スーザンに前後編にわたってゲスト出演してた。しかしこの番組自体、相当面白くない。この辺でもWCWの「はずれ」加減が見えるような……。

ONLINE: 27.05.'00.




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