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The Practice
ザ・プラクティス
The Practice


 もと弁護士でもある作家ディヴィッド ケリーによって作られるこの裁判ドラマは、言葉、セリフが全てだ。「言葉」は知性そのものであり、人間だけが持ち得る「ちから」だ。そして裁判シーンは、その人間の本質的なちからの総てを出しきり、闘う場所となる。俳優の表情もカメラの動きも音楽も、ここでは波打ち襲いかかる言葉の一部となる。この迫力は映画の大画面と大音響で作られるSFXの迫力とはまったくちがう。直接こころを揺さぶる、言葉の衝撃だ。 日本製ドラマのこじゃれた甘いセリフや、ハリウッドアクションに浸りきっているひとは、是非このドラマを観て欲しい。知らなかった感動がある。
基礎情報は snbpra01.html
感想ファイル1はsnbpra02.html

警告:以下の感想文・批評は、ストーリーラインから話のオチまで、激しくネタバレしています! 日本で観てる方はまだ読まないが吉。

注意:内容は過去の日記から採取したものです。感想ファイル1とは、ストーリーの流れとしては順番が前後しています。



Episode #23 "Burden of Proof"
第23話 『論拠の重さ』

 「正義のダメ弁護士」ジミーの一世一代の大勝負。今回も良質のシナリオと演技でみどことたっぷり。

     ガン患者たちがその原因を家の周辺にある高圧電線に求め、電力会社を訴える。科学的な証拠はまったく無い。しかし、情にもろいジミーは、悲壮感あふれるガン患者たちに囲まれ、無謀ともいえる裁判に挑む。頼みの綱は、アル中のもと科学者     

 日本にいたときは、あの欧米の「陪審員」というシステムがどうも納得できなかった。裁判官というプロが目の前にいるのに、どうして何の関係もない一般市民を呼びつけて評決をさせるんだろう。素人判断でまちがった判決になることはないのだろうか……。しかし、こちらに来てより多くの法廷関係のドラマを観るようになり、なんとなく納得できるようになってきた。陪審団は裁判官代行ではない。彼らは、被告・原告と同じく、試されているのだ。彼らがアメリカ市民として正義で公平な存在であることを。以下少々話のオチに触れるので、これから日本のFOXチャンネルで再放送を見る方は注意してください。それは今日、よりはっきりとした。……陪審員たちはジミーの情に訴えた最終弁論を聞き、原告側の訴えを全面的に認め電力会社に多額の賠償金を命じた。歓声に沸くガン患者たち。しかし、被告側弁護士はここで突然立ちあがる。
「被告は陪審の評決に納得できません」
 判事はそれを受けて、まるで無感情に口を開く。
「私は陪審員たちに、客観的証拠の欠如を考慮に入れることを望んでいました。しかしながら、陪審員がその仕事をできなかった以上、私は私の仕事をするしかありません。被告の訴えを認め、被告を無罪とし判決します。陪審団は解散してよろしい」

 判事は、ひとことで陪審の評決を打ち消してしまった。陪審制度の欧米でも、やはり裁判官は絶対のちからを持っていたのだ。陪審団は退かれ、ジミーは負け、法の正義は施された。ちょっとした驚きと、重い感動。法廷とは、原告が訴え、被告が裁かれ、弁護士がカネを稼ぐ場であるだけではない。やはりそれ以上に、神聖な正義と公正の象徴なのだ。

 しかし、ワタクシ日本の法廷よりも全然アメリカの法廷に詳しくなってます。日本人なのに。いや問題なのは法廷ドラマを作らない日本のテレビだ! 日本にもクオリティドラマを!

後注:なんとなく誤解されやすい表現になってますが、「陪審団は解散してよろしい」ってのは裁判終了時に必ず言われる言葉で、陪審員がダメだったから宣告されるというわけではありません。

放送: 98. 01. 19.(第2シーズン)
脚本:David E. Kelley
監督:Deniel Attias

ONLINE: 99.02.24.

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Episode #38 "The Diffenders"
第61話 『護る者たち』

 第1シーズンからの設定を使い第3シーズン2話目から盛り上がってきたプロットに、クライマックスが来る。

     リンジーの法学校時代の師であるピアスン教授が、自宅に侵入したストーカーを射殺し殺人罪に問われる。ストーカーが直接暴力に及んだ形跡は無く、ピアスンが撃った弾丸は5発。第2級殺人罪の否定は非常に難しい。恩師を救って報いたいリンジーはボビーとともに、事故による暴発という線で必死の弁護を試みる     

 前半の参考人証言や検察側の心理戦など相当盛り上がっていくが、なぜか後半になって妙にペースが落ちた感じがした。双方の最終弁論もいまいち迫力に欠けたし。と思ったら、主人公側は敗訴し、上告してまだストーリーを続けるらしい。なるほどだけど、ちょっと気を抜いてないかい? 特に検察側の最終弁論なんか、勝たせるにはちょっと不足のある内容。これは全ての弁護士モノテレビシリーズに言えることかもしれないけど、やっぱり主人公に勝たせるシナリオが多いから、相手側の弁論がちょーっと見劣りするという場合が多いような気がする(俳優がレギュラーじゃないから演技力の問題もあるかもしれない)。双方とも本当に魂を揺さぶるような演説で、ほんとにどちらが勝つかわからないっていうエピソードを、もっと観てみたい。まあそんなシナリオを作ろうとすれば相当な知識と技術が必要だろうけど。

 しかし、判決のシーンの映像・演技は例によって素晴らしかったと思う。裁判官が「被告人は起立を」と言うとカメラがザッと流れ、立ちあがる主人公達を写すカットは、背筋がゾクっとした。裁判官・陪審員・被告弁護人・原告と、それぞれのキャラクタによって写し方が違い(弁護人は画面が不安定に動き、反対に裁判官は動かない陰影のある画像)、それらのカットがめまぐるしく変って全体の緊張感を高めている。そして敗訴が決定したあとの混乱の中、主人公ふたりに焦点を当てた遠景。落ち着いて見ると、画像がいかに感情を伝えているか、よくわかる。

放送: 98. 10. 18.(第3シーズン)
脚本:David E. Kelley
監督:Dwight Little

ONLINE: 99.08.27.

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