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各エピソードの印象
#100The Good Fight
#106The Storm (Part 1)
#107The Storm (Part 2)
#109Sticks and Stones
#1XXAbby Road


シカゴの群立病院の緊急外来病棟を舞台にしたドラマシリーズ。「クィーキー」(quirky)と表現される複数のプロットの同時進行、急激に展開するシナリオという現代クオリティドラマの特徴を、緊急外来というまさにうってつけの舞台をもって、ステディカムをフル活用した流れるようなスピード感あふれる映像で表現した。90年代を代表するドラマとなり、2000年に入っても視聴率で常にトップに居座り続ける怪物番組。



Episode #100 "The Good Fight"
第100話 『グッド・ファイト』

 通算すると第100回目のエピソードだが、放送側はパイロット2時間エピソードをまとめて1話とカウントしたため、記念イベントは次のエピソードに譲っている。今回のエピソードは、ジョン カーターと第5シーズンからの新キャラ、ルーシー ナイトに絞った話。ふたりのキャラにプロットが集中しているため、感情移入が持続して楽しめた。カーターの性格はもう日本でも見てる人は十分判ってるかと思うけど、ナイトは「女カーター」みたいな性格(お嬢様じゃないけどね)。両方とも基本的に我が強くて自信過剰で他人の話を“聞こうとしてるつもりで聞いてない”正義漢。ナイトはカーターについて勉強する医学生という設定だけど、2人の性格は似ているからこそ全く合わなくて喧喧諤諤。本シーズンが始まってから約2ヶ月、このふたりの人間関係の成り行きに、目が離せなくなっていた。

 基本的に愛し合うふたりより憎み会うふたりのほうがより盛り上がると思うのは、やはり僕がアンチソープオペラだからだけではなく、そういった描写が(僕にとって)まだまだ新しく、その表現方法を開発する余地があるからだろう。もちろんソープオペラにだって憎しみ合う人間の描写はあるけど、あっちはなにかと潰しあいとか策略とか、そういう方向に向かうし、基本的に愛の裏面として憎しみがあるという描写だ。チャンネルを開けば目に入る熱烈な、しかし凡庸な友情や愛よりも、ただ単に、さしたる理由も無く反発しあう負の感情の描写のほうが、新鮮な驚きをもって素直に心に入ってくる。だから共感もより深くなる。そんな気がする。

 そんなふたりに与えられた最初のクライマックスともいうべき今回は、ふたりが嫌々ながら一緒に行動することで、マジ切れ口喧嘩が炸裂。シカゴをまたにかけたアドヴェンチャーというドラマチックな展開ながら、非常にリアルに描かれた2人の行動とその心理の描写に、観ていて胸が苦しくなるぐらいだった。善し。

放送: 98. 11. 19. (第5シーズン)
脚本:Jack Orman
監督:Christopher Chulack

ONLINE: 00.05.15.




Episode #169 "The Storm" Part 1
第106話 『嵐』 前編

 その人気ゆえERの主役とも言える(しかしそれは俗な観かた)、ダグ ロスを演じるジョージ クルーニーがついに降板となる前後編エピソード、前編。

     死にゆく少年の母親に頼まれ、独断で安楽死幇助をするダグ。しかし母親の離婚した夫がそれに気づいたとき、彼は一級殺人罪の容疑者となる。自分の正義を信じるがゆえに暴走し、彼の友人たちを巻きこみ続けて来た彼は、今回遂に、完全に信頼を失ってしまった     

 えー、感想ってわけじゃないけど、個人的にERの中ではダグ ロスがいちばん嫌いなキャラです。まああまりにも視聴者受けが良くなっちゃって天邪鬼が働いたんだけど、僕的には彼は身勝手な正義漢。ダテに正義のヒーローしちゃってるので、なにか失敗するとそのいやらしさがよけいに目立つ。ちなみにベストは現時点(第5シーズン中盤)で、ケリー ウィーバー、あるいはジョン カーターでしょう。両方とも欠点が大きく目立つ性格だからこそ共感できます。観ていて応援したくなるような。

 映像で気になったのは雪の描写。降る粉雪が綺麗に表現されてましたが、これはひょっとしてCG合成では? カメラが移動するとちゃんと雪の降る方向も変わるんだけど、微妙に不自然さが見えるような。どうなんだろ。あと、サブプロットでカーターとルーシーが思いがけず(ていうか観てる側は遂に! てな感じですが)親密な関係に、ってのがありますが、今まで全然気の合わない2人が一定の友情を築くまでの心理描写をかなり掘り下げて描いてきたので、今回ももうちょっと深く見せて欲しかったところ。

放送: 99. 02. 11. (第5シーズン)
脚本:John Wells
監督:John Wells

ONLINE: 00.05.15.




Episode #107 "The Storm" Part 2
第107話 『嵐』 後編

 ダグ ロスがカウンティホスピタルを離れるエピソード後編。前半は緊急外来で、面白さの代名詞ともなった「ERカオス」がたっぷり。複数の患者に向かう複数の医者・看護婦たちのアクションが渾然一体となって、緊張感と興奮を与えてくれる。患者は前編のラストで触れられたスクールバスの事故の被害者たち。数が多くその分シーンもいくぶんか長く感じられたけど、その中にそれぞれの人間関係や個々の抱える別の事件なんかがうまく組み込まれている。次々運びこまれるスクールバスの子供たちでそのテンションがぐんぐんあがっていき、最期にハンマーのごとく登場するダグ ロスと……彼がこのエピソードにどう絡むかは、日本の皆さん観てのお楽しみ(ていうかこの文これから、ラストシーンの描写の解説までするんですが)。

 ときおり軽いユーモアで深刻さをほどよく中和してるのは今回のライターのセンスだと思うんだけど、一般的に考えればこれはERといわずアメリカのテレビ/映画といった映像作品(あるいは多分他の文芸作品でも)に多く見られる特徴だと思う。それは行き過ぎるとよくあるディザスター映画みたく、「人類存亡の危機なのに全然危機感が無い!」と批判されたりするんだけど、日本の戦争映画みたくだらだらと締まり無く絶望しっぱなしな作風より、上手にテンポと集中力が保たれるだろうし、キャラクタ描写もぐっと幅が広がるとは言えないだろうか。時には笑いはブラックな方向で働かせることもできるし、暗い内容だからといってユーモアを排除すればいいってもんじゃないでしょ?

 後半は落ちついて、ロスとキャロルの顛末を中心に。ロマンティックで象徴的なセリフと動きの多い展開だった。ちょっと綺麗すぎるかも。しかし僕としてはやっぱり、グリーンとロスの「兄弟のような」友情関係を描いたラストシーンがイイ感じ。カーターとナイトの関係はちょっとしりつぼみ気味だけど、これは今後のエピソードを見てね、という事だと捉えておこう。なんにしろ、ダグ ロスが最後まで「強く正しいヒーロー」でなかっただけで満足。ダグを主人公にERを観れば、ウィーバーなんかはただの敵キャラなのかもしれないけど、ウィーバー派の僕の視点からは、ダグは自分が負けたことを認めずに逃げてゆく哀れな負けイヌに見える。ダグが好きか嫌いかっつうソーピッシュな論議は置いといて、主人公級キャラにこんなエンディングを用意できるERのシナリオを、嬉しく思う。

放送: 99. 2. 18. (第5シーズン)
脚本:John Wells
監督:Christopher Chulack

ONLINE: 00.05.15.




Episode #109 "Sticks and Stones"
第109話 『スティック&ストーン』

 ERはカーターがメインプロットなんだけど、ちょっと不満だったのがサブプロットのルーシー。以下このプロットのみオチまで完全ネタバレ。

     衰弱しきって入院した中国系の老女をまかされたルーシー。診断の結果は末期の癌だが、老女の息子夫妻は、彼女の平穏な生活を護るためその事実を伝えないという。そんな伝統的倫理観に固執する夫婦を嫌う孫娘。そしてルーシー自身にも、その倫理観は受けいれ難かった。ふとしたことからルーシーは口を滑らせ、老女はショックで心臓発作を起こしてしまう。愕然とするルーシーを責める息子夫婦。そして手当てのすえ回復した老女は、入院してからの記憶を失っていた。老女に病名を聞かれ、ルーシーは、「ただの衰弱だ」と答えるのだった     

 こーれはちょっと、ご都合主義過ぎやしませんか? ルーシーの医師としての成長を描くためだけにうまいこと記憶喪失ってのは、ねえ。この「インフォームドコンセント」(そうだよね?)のネタは、シカゴホープでも扱われていた。こっちは日本人がその対象で、現実の日本人からすると事実に反するのではという点もあったが、シナリオ自体をみればもうちょっと練り込まれていて、感情の描写も良かったと記憶している。現実の日本国内ではアメリカのように患者に真実を伝えるべきだという運動が進んでいるようだけど、アメリカでは逆に、真実を伝えないのもひとつの価値観だとして尊重する動きがあるらしい。微妙なところだ。

 今回言いたいのは、無敵に思えるERにも、できの悪いプロットを持ったエピソードはあるっつうこと。

放送: 99. 03. 25. (第5シーズン)
脚本:Joe Sachs
監督:Felix Enriquez Alcala

ONLINE: 00.05.15.


Episode #1XX "Abby Road"
第1XX話 『エィビー ロード』

 第6シーズン中盤で、新キャラクター アビー ロックハートがはじめてレギュラー登場するエピソード。演じるのはシチュエーションコメディ ニュースラジオで前年までレギュラー出演しており、また映画のサブキャラも手堅くこなす モーラ タイニー。詳しくはこちらをご覧いただきたい。彼女は少し前のエピソードで、ハサウェイの出産に立ち会った看護婦としていちど登場しているが、実は看護婦から医師への転向を目指す医学生という、少々変わった設定でのレギュラーとなる。まあ設定からしてこれくらいの個性がないと、人物の区別がつかなくて困るのだが。

アビー
 そう、第6シーズンを迎えて、ERは新キャララッシュとなっている。既に3人(いや4人か)の医師がレギュラーとして新たに参加しており、今回の彼女の登場で、オープニングに名前の出るレギュラー人数は瞬間最大13人となった。キャラが多すぎると批判を買った シカゴホープ より多いぐらいだ。キャラクターの混乱は品位の高いプロットでなんとかおさえているけど、実際陰の薄くなっているキャラがいることは確かだ。マイケル ミシェル なんて、いつからどういう役どころで出演しているのか、さっぱり分からんぞ。そういえば グロリア リューベン がいつ消えたのかも記憶に無い……。今回も、ついこないだからレギュラーのはずのアジア系女優 ミン=ナ なんか、1瞬しか登場しなかった。クルーニーが降板した以降、ERはこうやって多くのキャラを頻繁に入れ替えてやっていこうとしているのか、それともこれは大規模なキャストの入れ替えの前兆なのか、ちょっとその方針がわからない。キャストの役半分が新キャラという状態になって非常にフレッシュなんだけど、こう人物ばかり多いと、キャラクターに深みを与える機会が減ってしまうのではないかと不安に思っている。

 ともあれ、ニュースラジオでモーラ タイニーのファンになった僕としては、彼女のこの超人気番組への登場は、個人的に非常に嬉しいかったりする。しかし同時にかなり不安でもある。彼女のコメディでの演技は、まあ30過ぎた女優に言うのも変だが「キュートにボケてる」、ツボにはまったいい感じのものだった。演技というか、もう彼女自身の個性だ。その個性を彼女はERでも持ちつづけるのか? それとも一転してヘヴィでシリアスな新しい演技を見せてくれるのか。無理に演技をつくって彼女の面白さが損なわれるのはイヤだし、かといってキュートな演技ではERでは軽薄に見えるような……。今回のエピソードを見た限りでは、どうやらニュースラジオ時代とおなじ、独特の可愛さをもったアクションと言いまわしを見せてくれた。これから彼女はキャラクターをどう作っていくのだろうか。ちょっと作品の枠の外で、気になることが出来てしまった。

 エピソードはアビーの顔見せということもあって、緊急外来の様子を万遍なく見せ、4人ほどの患者をそれぞれ独立したプロットで完結させてる。派手な治療シーンは無かったものの、それぞれ感動できるポイントがきっちり織り込まれているのは、さすが。エンディングで思いがけず泣けた。

放送: XX. XX. XX. (第6シーズン)
脚本:R. Scott Gemmill
監督:Richard Thorpe

ONLINE: 00.05.15.




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